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釈 尊 八 勝 絵 伝

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マーラ天を征服された釈尊
マーラ天を征服された釈尊
1.マーラ(悪魔)

 天の象、ギリメカラーの背に乗り、千本の手に色々の武器を持って振り回しながら、大勢の兵員をひきいてマーラが、ボディサッタ(仏陀に成る人)を菩提樹の下の金剛座から追い出そうと攻めて来たのはお昼頃でした。
 彼は九種の戦術を使って戦いました。それらは、竜巻、大雨、熱石雨、武器雨、炭火雨、熱灰雨、熱砂雨、熱泥雨、暗闇でしたがすべて無駄に終りました。そして最後の手段として鋭い回転剣を投げましたが、何の効果もありませんでした。ついにマ―ラは金剛座を要求しました。ボディサッタはたずねました。
 “マ―ラよ、君のパーラミー(メリット)を知る証人がいますか”“いるとも”と、マーラが答え、兵員達を指さすと、皆が―斉に“我々だ”と叫びました。
 マーラは“貴男にも証人がいますか”と、尋ねかえしました。
 ボディサッタが“大地よ。全ての前生はおろか、ウエサンタラ王に生まれ変った私が行なった価値ある善行のほんの一部の証人になれ”と、指さしますと、大地が鳴り響きました。その響きがあまりにも大きかったので、天の象、ギリメカラーは巨体を伏せてしまいました。マーラと兵隊達は、未だ日暮れ前であったのに、皆狼狽して逃げてしまいました。

アーラーワカ鬼神(夜叉)を教化された釈尊
アーラーワカ鬼神(夜叉)を教化された釈尊
2.アーラーワカ(人食い夜叉)

 かつてアーラーワカ夜叉は、毎日身代り一人と引き換えにアーラウイー王の命を容赦してやりました。次の十二年間、彼は四千三百二十人を食い尽くしました。赤ん坊皇太子を捧げる前日、仏陀はアーラーワカの留守中に彼の邸宅を訪れました。怒り狂った夜叉は夜通し九種の戦術を使って仏陀を追い出そうとしたが、出来ませんでした。仏陀は慈悲心ですべての攻撃を撃退したのでした。
 アーラーワカは戦術をかえ、先輩の仏陀が彼の両親に教えた質問と答えのうちの答えの部について尋ねました。仏陀の適切な答えが彼の心を和らげました。
 仏陀は彼に正道を教えました。そして夜明と同時に彼はソターパッティ道を悟りました。アーラウイー王の使者達が到着し、赤ん坊皇太子を朝食としてアーラーワカに手渡した際、彼は赤面し、赤ん坊を仏陀に差し上げました。仏陀は赤ん坊と夜叉両者を祝福し、赤ん坊を王様の使者達に返しました。その後、アーラウイー国民は、アーラーワカを子守り神として祭りました。皇太子殿下は大人になってから仏陀の信仰に入り、アナーガミー道を悟りまして、重要な弟子の―人になりました。

ナーラギリ象の恭順
ナーラギリ象の恭順
3.ナーラーギリ(人殺し象)

 仏陀の従兄弟(義理の弟)デワダッタは二度にわたって仏陀の暗殺を企てましたが、未遂に終りました。一度目は射手三十二人を送り、二度目は自らギッジャクータ山より転石を落としました。
そして三度目の企ては、人殺し象ナーラーギリを利用することでした。
 ある日デワダッタは象にいつもの二倍の酒を飲ませて、ラージャガハ市内の大通りで托鉢する仏陀に向かって放しました。弟子達は象を退冶させてくださいと願ったが仏陀は、許しませんでした。
肝をつぶした一人の母親は、赤ん坊を仏陀の前に置き去りにしてあわてて逃げてしまいました。象が彼女を追い掛けると、仏陀は、慈悲に満ちて優しく象を呼びもどしました。
 ナーラーギリはふと酔いが覚めて仏陀の足元に身を伏せました。仏陀は彼の頭を撫でて三帰依を授け、五戒を守らせました。もし彼が畜生でなければ、その場で悟りを開くはずでした。
 屋上などからみていた市民達は、仏陀の大勝利に驚嘆し、歓声をあげ、ナーラーギリの巨体をおおいかくす程の装飾品などを投げ込んで祝いました。その後、ナーラーギリは、ダナパーラ(財宝主)と呼ばれました。

狂賊アングリマーラの帰依出家
狂賊アングリマーラの帰依出家
4.アングリマーラ(指のガーランドを飾る人殺し)

 タクシーラ市のある有名な教授は、嫉妬から教え子を殺そうと思いましたが、教え子殺しの評判が世間にたつのをおそれて、悪巧みをし、授業料として人間の人差し指千本を差し出せと、要求しました。
 素直な弟子は大勢の人を殺して、998本の指を集め、糸を通してガーランドにして首に飾りました。
それで彼はアングリマーラと名付けられました。
 彼は義務を完遂ずるため“息子よ!コーサラ王があなたを退治するために来るよ”とわざわざ知らせに来た母親まで殺そうとしました。
 母殺しの罪は重く悟りの妨げになるので、仏陀は親子の間に入ってアングリマーラの決断をそらせました。
 仏陀は彼を力尽きるまで走らせました。最後に彼は武器を捨てて仏陀に服従しました。仏陀は彼に正道を教えて「エヒビク」と呼びました。彼はビクになり、まもなくアラハンタとなったのです。
 しかし人々は彼の犯罪を許しませんでした。そこで仏陀は彼にアングリマーラパレッタを教えました。そのパレッタを読むことによって彼は世の母親たちのため安産の羅漢となりました。
 

遊女チンチャーの奸計
遊女チンチャーの奸計
5.チンチャ・マーナウイカー(いやしく、ずるい詐欺師)

 仏陀に与えられる尊敬と供物とをねたむ異教徒達は、いつか、遊行者の美女・チンチャ・マーナウイカーに、釈尊の名誉を傷付けるようにと頼んだ。そこで彼女は毎日夕刻にサーワッティ市を出てジェタワナ寺院近くの異教徒達の宿舎に泊り、朝、戻って来ては人々に自分は仏陀と一緒に夜を過ごした、と話しました。
 8・9ケ月の後、チンチャ・マーナウイカーは自分のお腹に木円盤を取り付け大勢の人々の真ん中で説法中の仏陀の前に立ち、
 “あなた、私を妊娠させた責任を取って下さい。”と要求しました。
 そのとき、四天王が四匹の鼠に化け、木円盤を支えていた紐をかみ切ったので板は落ち、彼女の足の指を切断しました。このいささつを見た群衆は怒り、彼女を追い出しました。彼女が仏陀の視界から去るや否や、大地は二つに割れ、炎が吹き出し彼女をまきこみ、そのまま地獄に落し込みました。

論争を挑んで来た遊行者サッチャカ師を教化された釈尊
論争を挑んで来た遊行者サッチャカ師を教化された釈尊
 6.サッチャカ(遊行者)

 サッチャカは父と母から、それぞれ500ずつの教義を学びとりました。彼はその教義と意見とで充満した自分の腹が破裂しないように鉄板製のベルトをつけていました。彼は仏陀の名誉を毀損しようとしてウエサーリー王子達に囲まれて仏陀を訪れ「尊師よ、師の教えは一体何ですか」と、聞いた。「ああ、アッギウイッサナ、心と体とは無常無我で、厄介である。それに執着するな、それが私の教えです。」と、仏陀は答えました。サッチャカは「私は反対です。生きている限り、心と体の自我の否定は出来ないでしよう。」と、反問しました。
 仏陀は更に「心と体の自我を信じますか」と問いました。
 「はい、信じます。」と、答えました。そこで仏陀は
 「もし心と体が自我なら、貴君はそれに醜くなるな、老いるな、と命じることができますか」と、迫りました。
 サッチャカは、肯定すればウエサーリー王子達から「われらのようにハンサムになれと自分に命じなさい。」と言われるし、否定すれば当然の負け、そこで、黙ってしまった。サツカ(帝釈天)は、夜叉に化け、金棒を手に「答えよ」と威嚇した。サッチャカは屈服し「尊師よ私は間違っていた。命のある限りあなたに敬意を表します。」と言った。仏陀が彼に正道を教えた時、皆も悟りを開きました。
 

ナンドーパナンダ竜王を調伏した大目連長老
ナンドーパナンダ竜王を調伏した大目連長老
7.ナンドパナンダ(怒った竜)

 仏陀と弟子500羅漠が、ナンドパナンダ竜王の天の邸宅の真上を通りかかったとき、彼は大変不快に思って暴力をふるいました。彼は巨大な体を作り出し、メル山(シュミセン)をとぐろの中に隠して、仏陀の行く手を阻みました。
 モツガラーナ長老は、仏陀のお許しを得て、ナンドパナンダより二倍も大きい竜に化け、彼をメル山との間にはさみこみました。
 長老は自分の身分を明らかにした上で、戦いました。
 モツガラーナ長老は、神通力に関して自分は竜王より一枚も二枚も上手だということを明らかに示しました。戦いはついに、ナンドパナンダの敗北に終りました。そして、彼は長老によって仏陀の前につれてゆかれました。
 仏陀は竜王に適切な法を説きました。それで彼は三帰依・五戒を守る信者になりました。

邪見者婆迦梵天を教化された釈尊
邪見者婆迦梵天を教化された釈尊
8.バカ梵王(梵界をニッバーナと思う人)

 むかしむかし、バカ梵王は神通力を得た行者でありました。彼は少くとも三回にわたって大勢の人々の命を救助したことがありました。一度は砂漠の中に迷って、飢えと渇きに苦しみ、死にさらされていたキャラバン隊を救助しました。
 また一度は盗賊団に囚れの身となった村人達を救助しました。そして又、川の中で恐ろしい竜に襲われた大群衆を救肋したこともありました。
 自己を顧みないそれらの善行の為に、バカは連続三回、梵界に生れ変わりました。彼の寿命はあまりにも長かったので、彼は自分の誕生を忘れ、死も予知できなかったのでした。そんなわけで、彼は梵界を永久不滅と思い違いをしていました。
 仏陀はこれら全部の思い違いを彼に明らかにして、正道を教えました。仏陀がバカ梵王に対して勝利を得たおりに、梵天の一万人も悟りを開きました。
 

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